|
2026/8/23
|
|
260823_国家の独立とは?-闘戦経と縄文知恵の外交戦略 |
|
![]() 闘戦経と縄文知恵の外交戦略 ー古の知恵に学ぶ、日本らしい外交のかたちー
*動画解説は ⭐️ 1.導入:日本独自の兵法書「闘戦経」と縄文の知恵 もしアメリカとの関係が、今までのようにはいかなくなったら―日本はどうなるのだろう。そんな漠然とした不安を感じたことはありませんか。 外務省が2026年にまとめた「外交青書」には、「『ポスト冷戦期』といわれた比較的安定した時代は既に終焉を迎えた」という一文があります。私はこれを読んだとき、正直かなり率直な表現だなと感じました。国の外交文書がここまではっきり言うのは珍しいことです。 こういう時代に、日本は「自主独立を強めるべきか」「同盟を頼りにし続けるべきか」という問いを突きつけられています。でも私は、これは単純な二択ではないと思っています。今回は、1000年前に書かれた日本独自の兵法書「闘戦経」と、1万年続いたとされる縄文時代の知恵から、そのヒントを一緒に探ってみませんか。
2.同盟国一つの都合で自分たちの立場が大きく揺れる 日本の外交は長らく「日米同盟が基軸」という前提の上に組み立てられてきました。この前提そのものが、ここ数年で少しずつ揺らぐ場面が増えてきています。 まず、トランプ政権の孤立主義的な傾向です。米国への過度な依存から抜け出し、友好国・準同盟国など少数の"志を同じくする国"との協力関係を深めていく「ミニラテラリズム」、いわゆる「プランB」的な発想への関心が、2026年に入って高まっているという指摘があります(nippon.com)。日米同盟を絶対視する発想には限界があると自覚しつつ、同盟関係を多角化しておく必要がある、という論調です。 そしてもう一つ、外交青書2026年版では、中国についての表現が「重要な隣国」に後退しました。前年版では「最も重要な二国間関係の一つ」だったのが、今回はこう変わったのです。2025年11月には、高市早苗首相が国会答弁で「台湾有事は存立危機事態になりうる」と発言し、これに対して在大阪総領事のSNS投稿など、中国側から強い反発が示され、日中関係が緊張する場面がありました。この一連の経緯について、私はここでは事実関係のみをお伝えします。良し悪しの評価はあえてせず、皆さんご自身で考えていただければと思います。 同盟国が一つしかないと、その国の都合ひとつで自分たちの立場が大きく揺れてしまう―これは国家だけの話ではなく、私たちの仕事や収入源にも通じる話ではないでしょうか。
3.日本独自の兵法と争いのなかった縄文とは? ここで一度、今回扱う「闘戦経」と「縄文時代の知恵」という2つの素材について、その情報がどこまで確かなものなのか、正直にお伝えしておきたいと思います。 闘戦経は、平安時代末期に成立したとみられる、日本に現存する独自の兵法書としては最古とされるものです。著者は大江匡房説が有力ですが、確定はしていません。『孫子』が「兵は詭道なり」として謀略や駆け引きを戦略の核に据えるのに対し、闘戦経は詐術を退け「真鋭」―誠実さ・正直さ―を重んじる思想を説いている、という点は比較的確立した内容です。ただし、この思想を「現代の外交にそのまま応用できる」という枠組みは、原典に書かれた話ではありません。あくまで私自身の視点から考えてみたい、という提案であることを、先にお断りしておきます。 もう一つ、「縄文時代は1万年、争いのない平和なユートピアだった」という語りについてです。これは自己啓発的な文脈でもよく紹介される話ですが、近年の考古学研究ではこの通説に異論も出ています。キヤノングローバル戦略研究所(CIGS)の論考では、北海道・有珠モシリ遺跡で戦傷を伴う人骨が見つかっている例が紹介されており、「豊かな生活なら人口が増え、食料不足から争いが起きるはずだ」という人口学的な観点から、通説に疑問が投げかけられています。「昔は平和だった」という話は聞くとつい信じたくなりますが、その根拠がどこまで確かなものか、皆さんは考えたことがありますか。私はこうした異論があることも含めて、正直にお伝えするのが誠実だと思っています。
4.経済安全保障も防衛も多角的に構えられているか? 日本が「同盟依存」からなかなか抜け出せずにいる背景には、数字で裏付けられる構造的な要因があります。 一つは、戦後長く続いてきた日米同盟中心の安全保障の枠組みそのものです。もう一つは、技術・経済面での対中依存や、供給網の偏りです。半導体をはじめとする重要な部材の調達先が特定の国・地域に偏っていることは、以前から指摘されてきました。 ただ、日本がこの状況にただ手をこまねいているわけではない、という点も紹介しておきたいと思います。安全保障面では、日米豪印の枠組みであるQUADの連携が深化しており、2025年6月には海上保安庁の練習船がオーストラリア・インドを歴訪、2026年の「バリカタン」演習では日米比豪の連携も確認されています。経済・技術面では、政府が「AI・半導体産業基盤強化フレーム」のもと、今後10年で50兆円を超える官民投資を掲げ、第7期科学技術・イノベーション基本計画でAI・半導体を含む重点6分野を「国家戦略技術」に指定するなど、投資減税を含めた検討が進められています。 こうした動きを見ると、「多角化」というのは国家規模の壮大な話に感じられるかもしれません。でも実は、私たち個人が"収入源を一つに絞らない"という発想と、根っこの部分は同じかもしれません。心当たりはありませんか。
5.「一つの強い後ろ盾に頼る安心感」と「複数の選択肢を持つ自由」 「自主独立を強めるべきか、同盟を重視すべきか」という論点をめぐっては、専門家・識者の間でもはっきり意見が分かれています。ここでは両方の立場を、できるだけ公平に紹介したいと思います。 自主独立の方向を強めるべきだという立場からは、軍事社会学者の北村淳氏が、日米の連携が「同盟強化」から「従属強化」に変質していると指摘し、日本自身の防衛力整備の必要性を主張しています。哲学者の内田樹氏も、日本が実質的に主権国家として振る舞えていない現実をまず認識すべきだ、という対米従属論を長く展開してきた論者の一人です。 一方で、同盟や国際協調を重視すべきだという立場もあります。米戦略国際問題研究所(CSIS)の日本部長を務めるマイケル・グリーン氏らは、日米同盟がより良く機能するよう役割分担を深める方向性を主張しています。先ほど紹介した「プランB」論についても、nippon.comの記事では、同盟を完全に否定するものではなく、あくまで"保険としての多角化"だと位置づけられています。完全な自主防衛には巨額の防衛費といった現実的なハードルも伴うため、抑止力としての同盟の価値は大きい、という見方です。 私自身、どちらか一方に決めつけるつもりはありません。皆さんは、「一つの強い後ろ盾に頼る安心感」と「複数の選択肢を持つ自由」、どちらに魅力を感じますか。この問いへの一つの考え方を、次のパートでお伝えしたいと思います。
6.同盟は維持しながら、依存を『選択』に変えていく多角化 ここまで読んでくださった方は、「じゃあ日本は同盟をやめて自主独立を目指すべきなのか、それとも同盟をもっと強めるべきなのか」というどちらかの答えを期待しているかもしれません。ですが、私が出したい結論はそのどちらでもないんです。 私が考える着地点は、「同盟は維持しながら、依存を『選択』に変えていく多角化」です。同盟をゼロにするわけでも、一本足打法を続けるわけでもなく、頼れる相手を複数持ち、その中から自分で選べる状態を作る、という発想ですね。極端な自主独立論も、同盟一辺倒論も、どちらも「一つに全部を賭ける」という点では実は似た構造を持っている、と言えるのではないでしょうか。 この考え方、実は1000年近く前に書かれた、日本に現存する独自の兵法書としては最古とされる「闘戦経」の思想と、私の中でつながって見えました。ここからは、既存の学術研究というより、あくまで私自身の解釈・提案として聞いていただきたいのですが。 闘戦経は、あの有名な『孫子』の"表裏"にあたる書とされています。ただし孫子が「兵は詭道なり」、つまり謀略やだまし合いを戦略の中心に置いたのに対して、闘戦経は詭道をむしろ退け、「真鋭」=誠実さや正直さを重んじる思想を説いたと言われています。著者とされる大江匡房は、国情の異なる中国で生まれた孫子の考え方を、そのまま無批判に取り入れる危うさを指摘したとも伝えられているんですね。 この「詭道ではなく真鋭を」という発想を、現代の外交に置き換えてみるとどうでしょうか。同盟を一つに絞り込んで、それに全面的にすがるのでもなく、かといって裏で駆け引きだけを重ねて信頼を軽んじるのでもない。QUAD(日米豪印)の枠組みを深めたり、インド太平洋の国々との連携を広げたりする動きは、まさに「誠実に複数の相手と信頼関係を積み上げていく」という、闘戦経的な姿勢に近いのではないか、と私は感じています。 もう一つ、選択肢を増やすという意味で象徴的なのが、技術力と文化力への投資です。AI・半導体分野では、今後10年で50兆円を超える官民投資が掲げられているという報道があり、国家戦略技術としての位置づけも進められているようです。またクールジャパン戦略では、コンテンツ産業の海外展開を2028年までに現状の約2倍、10兆円規模に広げる目標が示されているとのことです。数字の実現性はこれからの話ですが、「技術力や文化力そのものが、他国との交渉における"手札"を増やす」という発想自体は、多角化の考え方とまっすぐつながっていると思います。 そしてここで、あなた自身の話に戻したいんです。国家が「依存先を増やす」ために技術投資をするのと同じように、私たち個人も収入源やスキルを一つに絞らないという発想、大事だと思いませんか。AIという技術を少しずつ学んでいくことは、実は国全体の技術的な選択肢を広げる動きの、ごく小さな一部に自分も参加している、という感覚にもつながるかもしれません。あなたなら、今の収入源やスキルの"選択肢"を増やすとしたら、何から手をつけられそうでしょうか。
7.まとめ:精神的独立を果たし、外圧に左右されない強き日本へ 今回は、闘戦経の「詭道ではなく真鋭を重んじる」という誠実さの思想と、縄文時代の「一つの資源に依存しすぎない」という持続性の知恵、この2つを補助線にしながら、日本の外交をどう考えるか、という視点で見てきました。 繰り返しになりますが、この2つの歴史的な知恵が、そのまま2026年の外交政策の"正解"になるわけではありません。縄文時代についても、「争いのない平和なユートピアだった」という通説には、近年の考古学的な研究から異論が出ているという話を先にお伝えした通りです。闘戦経の教えを現代の国際関係に当てはめるという枠組み自体も、私自身の解釈・提案であって、確立した学説というわけではないんですね。 それでも、「一つのものに頼りすぎない」「誠実に信頼関係を積み重ねる」という発想は、国家の外交戦略だけでなく、私たちひとりひとりのキャリアや収入源の選び方にも、そのまま応用できる視点なのではないかと私は感じています。同盟か自主独立か、会社に勤め続けるか独立するか、といった極端な二択で考えるのではなく、「選べる状態を自分で作っておく」ことこそが、本当の意味での自由や独立につながる可能性がある、ということですね。 最後に一つ、問いかけさせてください。あなた自身の"闘戦経"、つまり誰にも媚びず、誠実に積み上げていける強みや技術は何だと思いますか。それを見つけて育てていくことが、あなた自身の「依存を選択に変える」第一歩になるかもしれません。 ![]() 8.関連記事へのリンク:国家の独立を多角的に考えるために、あわせて読みたい記事 今回のテーマにピンときた方には、同じ「国家の独立とは?」カテゴリの、こちらの記事もあわせて読んでいただけると理解が深まると思います。 1)国家の独立とは? -覇権主義に屈しない経済安全保障と国際連携の道⭐ 2026年6月のG7エヴィアン・サミットを題材に、経済安全保障と国際連携の重要性を扱った記事です。今回お話しした「同盟の多角化」というテーマと、直接つながる内容になっています。 2)日本の独立を守る皇室の絆! -万世一系という最強の外交資産とは?⭐ 「闘戦経」にも触れながら、皇室という日本独自の伝統を外交資産として捉え直した記事です。今回の記事と同じ切り口から、また違う角度で日本の強みを考えられると思います。 3)見えない占領を打ち破れ! -2026年の国家主権と日本人の精神的独立⭐ 「戦略的自律性」という切り口から国家の自立を論じた記事です。今回の「多角化」「依存からの脱却」というテーマの前提知識として、先に読んでおくとより理解しやすいかもしれません。 次はどんなテーマから、日本の"これから"を考えてみましょうか。 *動画解説は ⭐️ 以上です。
|
|
| |




