2026/9/24

260924_AGI社会-トランプ政権のAGI戦略

AGIを制する国が世界を制す

―トランプ政権が描く“未来秩序”と日本の出番―

 

1.「AIを制した者が勝つ」――国連演説の“笑い話”に隠れた本気の宣言

 

2026年9月22日、トランプ大統領は国連総会の演説で「AIを制した者が勝つ(Whoever wins AI, WINS!)」と言い切りました。同じ演説で「米国は、人工知能を規制するグローバリストの枠組みを構築しようとする試みを全面的に拒否する」とも宣言しています。私はこれを、「AGIを制する国が世界の秩序を決める」という本気の宣言として受け止めました。

 

ところが日本のネットでは、同じ演説の「AIを“スーパー・インテリジェンス(SI)”に改称する」という話のほうが話題になり、「SIer(システムインテグレーター)はどうなるの?」と面白がる声も多かったですよね。私も最初は笑ってしまいました。でも、その陰で、世界のAIのルールをめぐる重い一言が、あまり注目されずに流れていった気がしています。

 

そして今日9月24日には、習近平国家主席がワシントンを訪れ、AIも議題の一つとされる米中首脳会談が予定されています。

 

AGI(汎用人工知能)とは、ざっくり言えば「人間と同じくらい幅広い仕事をこなせるAI」のことです。遠い国の覇権争いに見えるかもしれません。ただ、この話は実は、私たちが毎日使うAIの“答え”につながっています。

 

あなたが毎日使っているAIの答えには、どこの国の、誰の価値観が入っていると思いますか?

 

この記事では、①AGI競争の本当の争点は何か、②ネットに出回る噂のどこまでが事実か、③日本と私たちに何ができるか、の3つを、確かめられた事実と私の見立てを分けながら考えていきます。

 

2.規制より覇権――トランプ政権が「グローバリストのAI統治」を拒む理由

 

先に結論をお伝えします。トランプ政権は「AI競争に勝つこと」を国の最優先の目標に置き、国際機関がAIを管理しようとする動きを「グローバリストの枠組み」として拒んでいます。いま起きているのは、単なる技術の競争というより、「どの国のルールと価値観でAIが育つのか」をめぐる争いではないか、と私は見ています。

 

政権の姿勢は、政権自身の言葉にはっきり表れています。2025年7月に出たAI政策の設計図「AI行動計画」の題名は、ずばり「Winning the Race(競争に勝つ)」でした。2025年9月には、大統領の科学技術補佐官が国連の会合で「国際機関がAIを中央集権的に管理・統治しようとする試みを全面的に拒否する」と発言しています。ベッセント財務長官は「中国にAIで引き離されたら、ほかのことは何も意味をなさなくなる」とまで語ったと報じられています。

 

国際機関との距離の取り方も、AIに限った話ではありません。米国は2025年7月に対外援助機関のUSAIDを事実上解体し、2026年1月にはWHOから正式に脱退しました。同じ月には66の国際機関・条約からの脱退も指示され、国務長官はそれらを「グローバリストのアジェンダ」と表現しています。

 

対照的なのが中国です。中国は国連を中心にしたAIの国際的な管理を後押しし、「世界AI協力機構」の創設まで提唱しています。「国際ルールを拒む米国」と「国際ルールづくりを主導したい中国」という構図です。

 

米国の中にも意見の対立はあります。2026年9月、AI企業Anthropicのアモデイ氏が「開発のペースを落とすべきだ」と提言し、OpenAIのアルトマン氏やマスク氏も賛同しましたが、トランプ氏は「われわれはAIで中国をリードしており、その状態を維持したい」と退けています。ただ、減速を訴えた側も「中国がAIで主導権を握れば危険だ」という前提は共有しているようです。米国内の争点は「中国と競うかどうか」ではなく、「どのペースで競うか」だと言えそうです。

 

今日の米中首脳会談では、AIの安全ルールや関税休戦の延長が議題になる見通しで、米側がAIをめぐる対話の枠組みを提案するという報道もあります。ただ、専門家からは「大きな進展は見込みにくい」「協議のための協議にとどまる可能性がある」との見方が出ています。

 

AIのルールを決めるのは、国際機関がいいと思いますか? それとも各国が自分で決めるべきだと思いますか?

 

3.「マスク氏は密教に傾倒」は本当か?ネットに広がるAGI覇権論を一次情報で確かめてみた

 

ここは正直にお話しします。「AGIを制する国が世界を制す」という大きな流れは、政権の公式発言や公文書で確かめることができました。一方で、ネットでこの話と一緒に語られがちな「マスク氏の警告」「マスク氏と密教」「中国の脳波AI」といった話は、出典が見つからないか、事実の一部が膨らんだものでした。実は私自身、2025年6月ごろにこのテーマの下書きを書いたとき、こうした話を半ば信じかけていたんです。

 

確かめられたこと

・AI行動計画、国連演説、66機関からの脱退指示は、いずれもホワイトハウスの公式発表で確認できます。

・中国は2017年の国家計画で、2030年に「AIの理論・技術・応用で世界トップ水準」「世界の主要なAIイノベーションセンター」になる目標を掲げています。よく「AI覇権を狙う」と紹介されますが、原文の言い方はこちらです。

・中国の生成AIのルールは、「社会主義の核心的価値観の堅持」を義務づけています。

 

そのままでは言えなかったこと

国際機関:「トランプ政権はUSAID・IMF・WTOから手を引いた」という話がありますが、脱退・解体まで進んだのはUSAIDやWHOです。IMF(国際通貨基金)には「本来の役割から手を広げすぎ」と批判しつつ関与を続け、WTO(世界貿易機関)も分担金を一時止めたあとに支払っています。

中国の脳波AI:2018年に「工場で作業員の脳波を測って感情を監視している」と報じられたこと(効果は誇張だという指摘もあります)と、2025年に脳とコンピューターをつなぐ技術を産業として育てる国の計画が出たことは、別々の事実です。「AGIに脳波をリアルタイムで学習させ、すでに実用段階」とまで示す資料は見つかりませんでした。

マスク氏の発言:「AGIの最大の脅威は、中央集権国家のAIが世界基準になることだ」という発言は、出典を探しても見つかりませんでした。確認できたのは「最大限に真実を追求するAIをつくる」「AGIは核兵器よりリスクが高い」といった発言で、2023年には「中国は人類チームの一員」と好意的に語ったこともあります。さらにマスク氏は2025年6〜7月にトランプ氏と公然と対立し(のちに和解)、2026年9月の減速論でもトランプ氏と逆の立場を取りました。「トランプ政権とマスク氏は一枚岩」とは言いにくいのが実情です。

 

噂の広がり方がよく分かる例もあります。マスク氏が2022年11月に「My bedside table(私のベッドサイドテーブル)」と投稿した写真に、金剛杵(こんごうしょ)のような法具が写っていて話題になりました。日本では「真言密教の五鈷杵(ごこしょ)だ」、インドでは「インドラ神の武器ヴァジュラだ」と言われたそうです。同じ1枚の写真を、見る側がそれぞれ自分の文化に引き寄せて解釈していたわけです。本人は何も説明しておらず、密教や縄文思想を評価したという発言も確認できませんでした。確認できた日本に関する発言は、「日本が消えるのは世界にとって大きな損失」という趣旨の、少子化への警告です。

 

ちなみに「トランプ関税はAI戦争への備えだった」というのは、私の読みにすぎません。トランプ政権が「国際緊急経済権限法(IEEPA)」という法律を根拠にかけた関税は、2026年2月に米最高裁で「この法律は大統領に関税をかける権限を与えていない」と判断され、効力を失っています。ただ、先端のAI向け半導体には、これとは別の法律にもとづき、同じ年の1月に安全保障を理由とする25%の関税がかけられています。「半導体とAIは安全保障の問題として扱われている」とは言えそうです。

 

「有名人が言っていた」「写真に写っていた」という話を、あなたはどこまで確かめてからシェアしていますか?

 

4.AIに“中立”はない――中国は法律で、米国は大統領令で価値観を教えている

 

AGI競争が「価値観の争い」になる根っこの理由は、AIが“先生”、つまり国や企業、開発者の価値観を学んで答えるからです。中国は法律で国の価値観を組み込み、米国も大統領令や開発者の意向でAIの答えを方向づけています。そしてそのAIの答えは、人の判断を実際に変えるほどの力を持ち始めています。

 

まず中国です。先ほどのとおり、生成AIには法律で「社会主義の核心的価値観の堅持」が求められています。米政府機関の評価(2025年9月)では、中国のDeepSeekのAIは、中国共産党寄りの不正確な主張を米国のAIの約4倍も繰り返したとされています。あくまで米国側の評価ですが、見過ごせない数字です。しかもDeepSeekは2026年4月、中国国産の半導体向けに最適化した最新モデルを出しました。締めつけても止まらない、ということかもしれません。

 

ここで一つ、言葉を正確にしておきたいと思います。「中国のAIには倫理がない」とよく言われますが、実は中国は生成AIを多くの国より細かく規制している、という指摘もあります。問題は倫理が「ない」ことではなく、その倫理が「誰のためのものか」なのだと私は考えています。

 

では米国は中立かというと、そうとも言い切れません。2025年7月の大統領令は、政府が調達するAIに「真実の追求」「イデオロギー的中立」を求めました。これを「政府による政治的な介入だ」と批判する声もあります。マスク氏のAI「Grok」は、本人の不満を受けて短期間で答えが変わったと報じられました。「西洋文明への最大の脅威は?」という問いの答えが、「偽情報」から「出生率の低下」に変わったそうです。

 

偏りはデータにも表れています。2024年の研究では、ChatGPTのもとになっているGPT系のAIの答えは、英語圏やプロテスタント系ヨーロッパの価値観に近い傾向がありました。2026年6月のワシントン・ポストの検証では、論争になりやすい政治テーマで、ChatGPTの答えの80%が左寄りだったといいます。AIごとに偏り方も違っていました。

 

そして私が一番ドキッとしたのが、神戸大学の研究(2026年8月)です。正解のない道徳の問いで、ChatGPTに反論されると、32.3〜36.9%、つまりおよそ3人に1人が自分の判断を変えました。しかも、若い人より高齢の人のほうが影響を受けやすい傾向があったそうです。

 

もしAIに反論されたら、あなたは自分の考えを貫けますか? それとも「AIが言うなら、そうかも」と思ってしまいますか?

 

5.「便利だけど、どこか偏っている」――米中のはざまで揺れる日本人のAI観

 

日本人の多くは中国のAIルールを信頼しておらず、AIの答えに偏りや操作の不安を感じる人も出てきています。その一方でAIを使う人は一気に増え、「中国製でも便利なら使う」という実利派や、「日本はもう完敗」という悲観と「日本には強みがある」という期待が入り混じっている、というのが今の姿だと思います。

 

米国の調査機関Pew(ピュー・リサーチ・センター)が2025年に25カ国で行った調査では、AIのルールづくりを「中国に任せて信頼できる」と答えた日本人は、わずか7%でした。ただ、途上国を中心とする12カ国の調査(日本は含まれていません)では、中国を信頼する人が43%と、米国の35%を上回っています。中国型のAIのルールが、世界の一部では支持を広げているのかもしれません。

 

米国の人たちの意識も興味深いです。2026年6月の調査で「中国のほうがAIで進んでいる」と答えた人は36%、「米国」は12%でした。「米国がAIで主導することが非常に重要」と答えた人は、65歳以上で56%、18〜29歳では26%です。年齢が高い層ほど、AIの覇権を意識している様子がうかがえます。

 

国内の不安の中身も見えてきました。消費者庁の調査では、AIへの不安として「AIから得られる情報が事業者によって人為的に操作される」が上位に入っています。Xでも「AIの答えが偏っていると結構感じる」という声を見かけます。中国製のDeepSeekが天安門事件の質問で答えを途中で止めたことも話題になり、「使わないほうがいい」という慎重な声と、「検閲があっても使えたほうがいい」という声に分かれました。

 

日本の立ち位置はどうでしょうか。2026年版の情報通信白書では、生成AIを使ったことがある人が58.8%に急増しました。それでも米国・ドイツの75.6%、中国の93.6%にはまだ届きません。仕事の進め方を変えるためにAIを使う「組織的な取り組みはない」という企業も、日本は27.0%と、米国の1.4%、中国の2.6%を大きく上回っています。一方で、「日本は製造業や現場のデータを生かすAIで逆転できる」という期待の声もあります。

 

あなたは、AIが出してきた答えを「誰かの意見の一つ」として受け取れていますか?

 

では、米中が“AIの先生”の座を争うなかで、日本に出番はあるのでしょうか。そして私たちは、AIの価値観に流されずにAIを使いこなし、もう一つの収入源づくりにも生かしていけるのでしょうか。その具体策を、この先でお話しします。

 

6.日本がAIの“先生”になる道――国の出番と、私たちが明日からできる4つの習慣

 

日本には、米国との協力を通じてAIのルールづくりに関われる公式の窓口がすでにあります。そして日本の精神文化には、そこに「調和」という視点を持ち込める可能性がある、と私は考えています。ただ、国任せにする話ではありません。私たち一人ひとりも、4つの習慣を持つことで、AIの価値観に流されずに、AI副業や毎日の判断に「自分と日本の感覚」を足していける可能性があります。

 

前半:国の出番――日本がルールづくりに関われる回路はすでにある

 

「米中の覇権争いに、日本が口をはさむ余地なんてあるの?」と感じた方もいるかもしれません。実は、足場になる事実がいくつかあります。

 

一つ目は、2025年10月に日米が署名した「技術繁栄ディール」です。この覚書には、AI開発の指針や枠組みを日米で「相互に使えるように合わせる」こと、米国のAI安全機関(CAISI)と日本のAIセーフティ・インスティテュートの連携、日米のAIを部品からソフトまで一式で海外に広げていくことが書かれています。日本がAIのルールや標準づくりに関われる回路は、机上の空論ではなく実在しているわけです。

 

二つ目は、日本の足元の動きです。

 

・対米投資5,500億ドルの中に、AI用の電源やデータセンターといったAIインフラが含まれている

・2026年4月にソフトバンク・NEC・ホンダ・ソニーグループなどが「日本AI基盤モデル開発」を設立し、政府は5年で約1兆円の支援枠を用意。工場や現場のデータを生かす「フィジカルAI(ロボットや機械を動かすAI)」を目指している

・2025年にAI推進法が成立し、政府はそれにもとづく「AI基本計画」を進めている

 

ここから先は、事実ではなく私の比喩・解釈です。

 

空海が説いた「即身成仏(そくしんじょうぶつ)」は、煩悩をもったこの身のまま、この世で生きているうちに仏と一体になる、という教えです(ミイラになる「即身仏」とは別物です)。私が惹かれるのは、煩悩を消し去るのではなく「包み込む」という発想です。AIを敵として排除するのでも、神様のように盲信するのでもなく、欠点も含めて受け止めながら“共に在る”。これはとても日本的で、世界に示す価値のあるAIとの付き合い方ではないかと私は感じています。

 

もう一つ、米国の文明評論家ジェレミー・リフキン氏が唱えた「限界費用ゼロ社会」という考え方があります。モノやサービスをもう1つ追加で生み出すコストがゼロに近づくと、奪い合いより「共有」の経済(コモンズ)が広がっていく、という見方です。AIが知識や文章をほぼタダで生み出せる今は、その入口にあるのかもしれません。共有や「おかげさま」を大切にしてきた日本の暮らしの感覚は、そうした社会と相性がいいのではないか、というのが私の読みです。

 

とはいえ、日本は個人のAI利用でも企業の組織的な活用でも、米中に遅れているのが現状です。「精神性で世界の先生に」は、あくまで可能性の段階です。日米協力という国の後押しと、製造業やフィジカルAIといった現場の実利。この2つと結びついたときに初めて、日本の感覚がルールの中に入り込む余地が生まれるのではないでしょうか。

 

後半:私たちが明日からできる4つの習慣

 

では、私たち個人は何をすればいいのか。前半で見てきたデータや研究をもとに、AI副業や日常にそのまま使える4つの習慣にまとめました。

 

習慣1 AIの答えをそのまま売らない・発信しない

 

ブログ、note、動画の台本、SNSの運用代行。AI副業では、AIが書いた文章をほぼそのまま商品にしがちです。でも、AIの答えには開発した国や会社の価値観が入っている可能性がありましたよね。そのまま使えば、気づかないうちに誰かの価値観を、自分の名前で発信していることになりかねません。副業の信用は、そのままあなた自身の信用です。

 

習慣2 2つ以上のAIに同じ質問をして比べる

 

前半で触れたワシントン・ポストの検証では、論争的な政治テーマでChatGPTは80%が左寄り、Claudeは57%が両論、Geminiは93%が両論と、AIごとに傾向がかなり違いました。同じ質問を2つ以上のAIに投げて比べれば、偏りに気づく練習になり、副業の品質チェックにもなります。無料で高性能な中国製AIも、「何に使い、どこまで信じるか」を自分で決めておくと安心です。

 

習慣3 「日本人として答えて」と問い直す

 

前半で紹介した2024年の研究(学術誌PNAS Nexusに掲載)では、「その国の人として答えて」と指示すると、多くの国でAIの価値観の偏りが減ったと報告されています。AIの答えが西洋寄りだと感じたら、「日本で暮らす50代として答えて」「日本の地域の習慣をふまえて」と問い直してみる。そして最後に、あなた自身の経験を一文でも足す。それだけで、AIの一般論が「あなたの言葉」に近づいていきます。

 

習慣4 最後は自分で決める“間”を取る

 

神戸大学の研究では、ChatGPTに反論されるとおよそ3人に1人が判断を変え、年齢が高い人ほど影響を受けやすい傾向がありました。副業の方向性、お金の使い方、仕事の選択。大事なことほど、AIの答えを一晩寝かせてから自分で決める。この“間”が、AIに考えを持っていかれないための一番シンプルな防波堤になると私は考えています。

 

もう一つの収入源の視点から

 

成果を約束できるものではありませんが、次の2点は頭に置いておく価値があると思います。

 

・AIの答えが平均的・西洋的になりやすいからこそ、日本の生活感覚や、年齢を重ねた経験を足した発信は、AIだけでは作れない価値になる可能性があります

・日米のAI協力、国産AIへの支援、フィジカルAIといった国策の流れを知っておくと、これから学ぶ分野や副業のテーマを選ぶときの判断材料になりえます。

 

4つの習慣のうち、あなたが今日から一番始めやすいのはどれでしょうか?

 

7.日本は“魂の教師”になれるか――AGI覇権の時代に手放してはいけないもの

 

AGIを制する国が世界を制す、と言われる時代の本当の争点は、「誰がAIに価値観を教えるのか」だと私は考えています。その答えは国の戦略だけで決まるものではなく、AIの答えを自分の価値観で問い直す、私たち一人ひとりの姿勢にもかかっているのではないでしょうか。

 

ここまでの要点を振り返ります。

 

・米国は「グローバリストの枠組み」によるAI規制を拒み、「AIを制した者が勝つ」という路線を走っている。中国は法律でAIに国家の価値観を組み込みながら、国連を中心にした国際的なAI統治を推し進めている

・AIに“中立”はなく、その答えは人の判断を変えるほどの力を持ち始めている

・噂と事実を分けて見ると、日本の出番は「精神性」だけではなく、日米協力や製造業の現場の実利と結びついたところに開けつつある

 

9月24日の米中首脳会談でも、AIの安全ルールや関税休戦の延長が議題になると報じられていますが、この記事を書いている時点で結果は確定していません。こうしたニュースは今後も続きます。遠い国の話として聞き流すのではなく、「自分が毎日使うAIの話」として追いかける視点を持っておくと、見え方がずいぶん変わってくると思います。

 

日本が“魂の教師”になれるかどうかは、まだ誰にも分かりません。だからこそ、その可能性を最初から手放してしまうのは、もったいないと私は思うんです。

 

次の一歩として、今週、いつも使っているAIにした質問を、もう1つのAIにも投げてみてください。そして両方に「日本人として答えて」と問い直し、その違いを自分の言葉で一行メモしてみる。小さなことですが、それが「AIに教えられる側」から「AIに問いかける側」へ移る第一歩になるかもしれません。

 

AIが世界の“先生”になっていく時代。あなた自身は、AIに何を教えたいですか?

 

8.あわせて読みたい――米中AGI競争と日本の強みを深掘りする記事

 

米中の半導体をめぐる「ハードの争い」と、日本の精神文化や感性という「ソフトの強み」。この両面から、今回の記事の続きを深められる3本を選びました。

 

1)米中「AGIハード格差」の真実——半導体2世代差の先に人間は何をすべきか⭐

対中半導体規制や米中覇権の“ハード面”を、数字で掘り下げた一本です。AIの頭脳を支える土台の争いが、私たちの暮らしとどうつながるのかを知りたい方におすすめです。

 

2)縄文人の精神性がAGI社会の羅針盤になる理由――5000年前のクルミが語る“心の技術”⭐

今回は控えめにした「縄文的な共生の価値観」を、遺跡の報告書をもとに、事実と想像を分けてたどった回です。AI時代の暮らしと稼ぎに生かせる習慣にも落とし込んでいます。

 

3)世界が失った“感性”を日本は守っていた――AGI時代にこそ必要な文明論⭐

「日本の精神文化はAI時代に何を差し出せるのか」という、今回の後半のテーマと地続きの記事です。日本人の自然観や感性をもう一歩深く考えたい方にどうぞ。

 

AIの頭脳を支えるハードの争いと、AIに何を教えるかという心の問題。あなたはどちらから深めてみたいですか? 自分の頭で問い続けることが、AGI時代の一番の備えになるのかもしれません。

 

以上です。